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ClipClap、庄司琢麻さん|「カットが上手いサロン」というだけでは、お客様に魅力は伝わらない─月600名が通う美容室の経営術

「技術はあるはずなのに、なかなか集客につながらない」

 

このような悩みを持っているサロンオーナーの方がいらっしゃるかもしれません。技術へのこだわりが、経営を難しくする原因になることもあります。

今回お話を伺った、町田にある美容室「ClipClap」を経営する庄司琢麻さんも、技術へのこだわりと経営者としての立場のギャップに悩んだ一人でした。

 

「お客様にとって一番大事なのは『大事にされているという感覚』です」

「顧客層はあえて絞らずに、平日も土日もバランス良くご来店いただくことに成功しました」

 

現在月600名が通う人気サロンは、どのようにして生まれたのか、庄司琢麻さんから伺いました。

 

 

いらっしゃいませではなく「こんにちは」。双方向のコミュニケーションを大事に

──本日はよろしくお願いいたします。まずは、お店のコンセプトについて教えていただけますでしょうか。

フランクな接客、ハイクオリティな技術、リラックスできる空間づくりを大事しております。

経営者という立場になっても、技術は一流のものを提供していきたいと思っていました。そして同時に思っていたことが、「かしこまらない」でした。町田は私の地元なのですが、地元の方々に寄り添いたいという思いがあったためです。

 

──1ヶ月にどれほどのお客様がご来店されているのでしょうか。

600名ほどでしょうか。スタッフ6名で、その人数のお客様を対応しています。

 

──接客において、気を遣っているポイントを教えて頂けますか。

基本的にはスタッフは「いらっしゃいませ」とは言わず「こんにちは」とお迎えするようにしています。前者はこちらからの一方的なコミュニケーションですが、後者ならお客様と言葉のキャッチボールができるためです。

会話は全てカウンセリングの延長だと考えてお客様と向き合わせていただきます。その方の変化をしっかりとキャッチして施術に反映していきます。

例えば、お客様がスポーツクラブに通い始めたなら、簡単にセットが終わるような髪型が良いのではないか、などです。自然体で、できるだけ普段思っている本音をお聞きするようにしています。

 

「カットが上手いサロン」だけでは、お客様にとっての選択肢が多すぎてしまう

──そのような施術を実現するためには、スタッフさんへの教育も大事になってくると感じます。

はい。まずお客様について覚えることの重要性は伝えています。どのような雑誌を読んでいるのか、サービスでやっているハーブティーは何を飲んでいるのか、などです。そうしたことが気軽に出来るようになることが大事だと思っています。

 

私の中で、なぜお客様が来てくださるのかを考えてみると、「大事にされている感覚」がまず一番だと考えます。そのあとに来るのが技術です。私はカットの技術が好きでこだわりもありますが、サービスとしてはあくまで隠し味としての位置付けと認識しています。

 

「カットが上手い」というメッセージは多くのサロン様が押し出しています。なのでお客様からすると、どのサロンが良いのか判断することは難しいものです。

私としては、プロである以上、上手いのは当たり前で、その他に何があるかが重要だと最近は思っています。なので接客もそうですが、今は縮毛矯正、育毛など、よりお客様の抱えているパーソナルな問題の解決にも力を入れています。

 

──「技術だけではダメだ」という考えは独立当初から持たれていたのでしょうか。

いえ、全く持っておらず、最初はとにかく技術にこだわっていました。カットが上手くなりたいという思いで、ひたすら勉強していました。すると、勉強するほど単価が下がってしまったのです。

技術が向上すると、お客様としても「カットだけで充分」という気持ちになります。喜んでいただけることはとても嬉しいのですが、それでは経営が回らなくなってしまうため、別のアプローチでの価値提供を考えるようになりました。

 

顧客の年齢、性別は「あえて絞らない」ことで平日から土日まで集客が可能

──もともと独立しようという思いは持っていらっしゃったのでしょうか。

はい。中学生の頃から、何かの分野で独立したいと思っていました。この業界に入ってからは25歳で独立しましたので、下積みとしての苦しい時期は短かったです。その分、独立してから苦労することになりました。お店を出すのは難しくないですが、続けていくのがやはり大変です

 

──具体的に、どのような点で苦労されましたか。

住宅街に立地しているため、集客の面で苦労がありました。駅前に立地しているお店であれば、お客様も自然に入ってきやすいのですが、住宅街ではそれがありませんでした。そのため、「いかに紹介でお客様に来ていただけるか」が重要でした。

 

──紹介を起こすためにどのような工夫をされたのでしょうか。

独立した当初は、とにかく技術による満足度を重視し、360度どこから見ても綺麗になるようなカットを心がけました。横顔や後ろ姿は思っているよりも他者から見られているものですそうした部分も丁寧に仕上げることで、身近な人から「どこで切ったの?」と言われることを目指しました。

 

そして技術の他にも、当時はまだカウンセリングが普及していなかったのですが、それを毎回しっかり行い、本音を引き出しました。そして、「周りにどんな方がいるか?」「褒めてくれる人は誰か?」「どういう職場に勤めているのか?」「旦那様や奥様はどんな人なのか?」などを把握し、お客様の先にいる方々の目を意識してカットしていました

 

すると、ファミリーで来ていただけるようになります。多くのお店様が顧客層を絞られている中で、弊店では逆に広げていく意識を持っていましたそのため、親子で来ていただける流れができたことは大きかったです。

 

──なぜ、顧客層を広げる方針だったのでしょうか?

経営する側としては、特定の顧客層に絞ってしまうと、経営するうえで難しさがあると考えたためです。例えばビジネスパーソンの方の場合、基本的にご来店されるのは土曜日と日曜日です。そこにお客様が集中してしまうと、平日を上手く使えず、経営が回せなくなってしまいますそのため、主婦の方など、家族がそれぞれ異なる時間で来ていただけるようになればと考えていました。

 

年齢層やお仕事の種類では絞らず、「ナチュラルな雰囲気が好きな方」といったことを意識していました。そのため、接客もお子様からご高齢の方まで好感を持っていただけるものである必要があります。カットがどれだけ上手くても、独りよがりになってしまい、お客様とのコミュニケーションが疎かになっては意味がありません。いかにお客様から好感を持っていただくかが重要です。

 

「1日に2回褒めよう」悪い点を指摘するだけでは、スタッフは育たない

──他に苦労した点はありましたか?

求人が一番苦労したのではないでしょうか。ある時から、スタッフがなかなか定着しなくなりました。最初はこじんまり数人でやっており、5年以内で辞める人もおりませんでした。

 

ですが、ある時から入ったらすぐ辞める人が出てくるようになりました。世代の違いもあったのでしょうが、今考えてみれば、店舗としても、「とりあえず入ってくれるのであれば、誰でも良い」という考えで採用を行ってしまっていました。それではダメだということで、来て欲しいスタッフ像を明確にしてからは辞める人は減りました。

 

──スタッフの方の教育について、意識されている点について教えていただけますでしょうか。

私としては、しっかりと言葉で説明して教育したいなと思っています。見本になるような行動をして、言って聞かせてから実践してもらうという流れは大切です。

 

また、意外と忘れがちなのが、「できたら褒める」ということです。上の立場に立つ方は、できるのが当たり前と思っており、あまり褒めることができていないケースがあります。教育を受ける側からすると、「今の良いね」と言ってもらえることで、正しい行いを学び、それを繰り返そうとします。

 

弊店のスタッフにも「1日に2回褒めよう」と伝えております。ついつい悪い点ばかりが見えてしまいますが、そこを指摘できるのは当たり前だと考えています。良いところが見えてこそ一流だと教えています。意外と、褒めるのは難しいものです。1日2回となるとより難しくなります。ですが「遅刻していない」のような、小さなことでも構いません。そうした部分に目をつけて、しっかりと褒める文化を作っていくことは大切です。

 

上に立つほど大変さはある。それに比例して評価される環境が大事

──本日はありがとうございました。最後に、これから美容室で開業される方に向けて簡単にメッセージをいただけますでしょうか。

独立すると、1人だけでやっていくのか、スタッフを雇うのかという選択肢がありますが、もしスタッフを雇うのであれば、社長が一番働くべきだと思っています。10倍の給与をもらっている感覚ですので、10倍働く意識を持っています。これは体力面というよりは、経営者になることによる精神的な大変さを指しています

そして、スタッフの中でも、上に行くほど責任のある立場に立ち、それを果たしていくマインドが育ってくる環境が大事です。店長はスタッフの5倍の給与にするなど、大変さに比例してしっかりと結果につながる実感を持てる場を作ることは大切ではないでひょうか。

 

プロフィール

庄司 琢麻

 

・ClipClaphttp://clipclap.jp/ )

〒195-0053

東京都町田市能ヶ谷1-3-1 ブランピエール弐番館101

クリップクラップは高級サロンではありません。フランクで、あたたかい雰囲気の美容室です。
馴染みのスタッフがいる、地元のお気に入りのサロン…。
クリップクラップは、鶴川の皆様に愛されるヘアサロンを目指しております。

 

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