お客様の体を長期的によくしたいという思いが、自然とリピーターを増やすことにつながった

――先ほどおっしゃっていたように、岡本さんのジムの強みは、リピート率の高さでしょうか?
そうですね。
新規でご来店頂いた方には、ほとんど辞めずに続けて頂いています。
――そこは大きいですよね。パーソナルトレーニングジムに限らず、エステサロンなどでもリピート率が課題で新規集客ばかりに時間とお金を取られる店舗が多いと思います。
だからこそ、当ジムでは「3ヶ月でこの体」といったように新しいお客様の目を引くようなことは一切伝えていません。
体重にこだわる方に対しては、食べる量を減らして走った方がよいと言ってしまいます(笑)
ただ、「体重は落ちますが、筋肉量が落ちて代謝が落ちるから、リバウンドしますよ」ということはハッキリ伝えています。
たとえ順調に痩せていても、筋肉量が落ちていたら僕は怒ります。体重だけ落ちている方には、「食べてないでしょ!痩せ方が悪いとしぼみますよ!老けますよ!」と言います。
――体重重視ということですね。
食事量・糖質量を減らしていくとやっぱり筋肉量が減るので、リバウンド率が高いことも事実です。
例えば、大手パーソナルトレーニングジムでは、当初の筋肉量と今の筋肉量の比較は出していません。
実際、体重が10kg落ちたとしても筋肉量が4kg落ちていたら、実質6kgしか痩せていないことになるのですが、そこまでは測っていません。
例えば4kg筋肉量が落ちると、代謝でいうと300kcalくらい減っている状態なので、痩せる前に比べて300kcalくらい食べられなくなるということになってしまいます。300kcalというと、おにぎり2つ分ですからね。それを気にしないで、今まで食べていた量と同じ量を食べると、それだけで太ってしまいます。
――ダイエットのこわいところですね。
体重が減ることに取り憑かれている方が多いと感じています。
それで「もっと食べないようにしよう」とエスカレートしたり、ベジタリアンになったりするのですね。女性に多い傾向があります。
「肉や魚を食べてほしい」と言っても、野菜ばかりを食べているほうが体重が落ちるので、どんどんエスカレートしてしまいます。そういう方には「そのまま続けたければそれでもいいけど、結局リバウンドするし、体がしぼむだけだから、脱いだときにちょっとハリがない状態になりますよ?」ということをしっかり伝えますね。
極端に言うと、体重は全く減らないで体脂肪だけが減っていれば、筋肉がついているということなので、一番いいんですよ。
体重計に乗っときに「あんまり減ってない」とがっかりしたとしても、筋肉量が増えているなら「いい痩せ方していますね」となります。結局、体脂肪が落ちているということですからね。
――こういった正直なお話もされているからこそ、お客様も信頼して長期的に通うことにつながっているんですね。
僕は、話すことが好きなんですよね。体の話はおもしろいですよね。
例えば、日本人の方だと有酸素運動をすぐに取り入れますよね。でも、有酸素運動はリバウンドの近道でもあるのです。そういった話を思わずしてしまうんですよね(笑)

――それは興味が湧きますね(笑)
マラソン選手は細いですよね。あれは、筋肉量を減らして体を軽くして、少しのエネルギーで長く走れるように体が進化しています。でも、100メートル走の選手はガッチリとした体付きをしています。あれは瞬間的にエネルギーを使えるようになっているからなのです。
おにぎり1個を食べたとき、マラソン選手は10km走れるけど、100メートル走の選手は5kmしか走れないとします。両者が同じものを食べたら、100メートル走の人のほうが早く消化するので太りません。だから、マラソンなどの有酸素運動で痩せた人はリバウンドしやすくなるのです。
だから、有酸素のやり過ぎはあまりオススメしません。
あと、痩せづらくて太りやすい人の一番の特徴は「過去にカロリー制限ダイエットをしている」ということがあります。筋肉が減りすぎてしまっているから、痩せづらくなっているんですね。
――食べなければダメということですね。
食べないとダメですね。
しっかりと食事をしないと筋肉量がみるみる減っていくので、なかなか痩せられなくなりますし、冷え性になったりもします。
筋肉量が減ってしまうと代謝が悪くなるので、汗をかきにくくなり、冷え性にもなりやすいです。逆にトレーニングを続けて筋肉量を保持している方は汗をかきやすいので痩せますね。